大学中退から司法試験合格、そして独立  #2

大学中退から司法試験合格、そして独立  #2

こちらの記事は#1の続きになります。

インタビュイー:新井 優樹

1991年3月生まれ。静岡県藤枝市出身。東京理科大学を中退後、明治大学法学部に進学。慶應義塾大学大学院法務研究科を修了後、弁護士となる。弁護士になってから1年2ヶ月という短期間で銀座で20代で独立開業。「勉強が苦手」「人前に出るのも苦手」「営業ももちろん苦手」・・・そんな中で、どうやって20代で独立するまでに至ったのか、弁護士を目指したところからその物語は始まる。

  • 本インタビューは、全部で3本の記事で構成されています。
  • #2は、「弁護士になってから~独立するまでのお話」となります。
  • #1はこちら、#3はこちらでご覧ください。
目次

最初は不倫の相談ばっかり受けていた!?

インタビュアー「弁護士になってからいろいろなお仕事をされてきたと思いますが、弁護士としての初めての仕事はどんな仕事だったんですか」

新井さん「弁護士として初めての仕事は離婚事件でしたね。「答えられない質問されたらどうしよう・・・」とドキドキしながらら仕事してましたね。最初に入所した法律事務所が、当時は男女問題の取扱い比率が非常に高くて、特に不倫をしてしまった方からのご相談を数多く受けていました。毎日のようにお問い合わせの電話があったので、毎日、不倫の相談を受ける日々でした。」

インタビュアー「一般人からすると衝撃的な話なんですが、弁護士さんとしては一般的なお仕事なんでしょうか。」

新井さん「そうですね。離婚、不倫、内縁関係等の男女トラブルに関する仕事をされている弁護士は多いんじゃないかなと思います。ただ、やっぱりだいぶ感情が持ってかれる領域の仕事ではあるので、感情移入しすぎるとこちらの心が乱れたり、冷静な判断ができなくなることもあるので、向き不向きは結構あるかなと思います。特に、私が所属していた法律事務所では、「離婚をしてしまった方」からの相談が多かったので、基本的には慰謝料を請求される側なんですよね。当然、よろしくないことをしてしまったわけですが、その方たちの味方になるのが仕事なので、「不倫した人の味方になることが正しいのか」という感情論や道徳的な部分は一旦おいておく必要がありました

インタビュアー「「気持ちとして不倫が許せないから味方にならない」とはならないですもんね。そこの整理をしていく必要があるのは弁護士ならではってところですよね。ちなみに、最初に入所された法律事務所はどれくらい働かれたんですか。」

新井さん「2か月ですね笑」

インタビュアー「めちゃめちゃ短いですね笑 なにが原因で事務所をすぐに辞めることになったんでしょうか。」

新井さん「いろいろあったんですが、結局は、「この仕事をずっとやり続けたいか」って考えたときに、自分の答えがNoだったからですね。もちろん、個人の方の相談に乗って、感謝されてとても嬉しい気持ちを感じることもありましたが、自分の中で、なんとなく「ちがうなぁ」「他のこともやりたいなぁ」って想いがすぐに強くなってきてしまったんですよね。そのような気持ちの中で、事務所に留まってお客様の相談を受けることはむしろお客様や事務所に対しても失礼かなと思って早々に辞めることにしました。」

インタビュアー「ハマらなかったって感じなんですね。転職するときはどんな法律事務所に転職活動していたんですか。」

新井さん「企業を依頼者とする仕事をしてみたかったので、弁護士業界では「企業法務系」と呼ばれている法律事務所のいくつかに応募していました。ただ、貯金がなさすぎて生活が危ぶまれる状態だったので、一部、個人を依頼者とする法律事務所にも応募はしていて、お金がなくなるまえに転職しないとって気持ちでした笑」

インタビュアー「お金なかったんですね。ちなみに、「企業法務系」ってなんなんでしょうか?」

新井さん「法律事務所にもいろり種類があるのですが、大きく分けると、一般の個人のお客さんを中心とする「一般民事系」の法律事務所と会社をお客さんにする「企業法務系」の法律事務所があるんです。必ずしもどちらか一方に絞られるわけではなくて、両方やってる法律事務所もたくさんあります。一般民事系の法律事務所では、離婚問題や相続問題、交通事故なんかを扱ってるところが多いです。不当に解雇されてしまったり、残業代が支払われない労働者の方の弁護もしたりしますね。企業法務系の法律事務所では、契約書の作成や、法人間のトラブルの解決、新しい事業を行う時にそれが法律に違反していないかのチェックなんかをやったりします。」

インタビュアー「なるほどですね。普通の会社も業種毎で別れているように、法律事務所にもなんとなくの区別があるんですね。話が少し戻るのですが、最初の法律事務所ではどういう報酬体系だったんでしょうか。一般的な会社と同様に月給制とかでしょうか。」

新井さん「最初の法律事務所では、固定給+歩合給のパターンか歩合給のみのパターンかで報酬体系が選べました。たくさん働くつもりだったので、歩合給のみのパターンを選択していました。転職活動をし始めてからは案件を受けること自体が失礼かなと思い、新規の案件を受けなくなったので、辞める直前の月の月収が一桁万円とかでしたね笑 その後すぐに転職できたので良かったんですが、転職活動に時間かかってたらマジで笑えない事態になってました笑」

インタビュアー「今だからこそ笑い話にできますけど、当時はできなかったですよね?笑 結局、転職活動の結果はどんな感じだったんでしょうか。希望していた企業法務系の法律事務所に就職できたのでしょうか。」

新井さん「貯金の大切さが身に沁みましたね・・・就職活動の方法は、結果として希望していた法律事務所から内定をいただくことができました。」

インタビュアー「働きたい場所で働けることになって良かったですね。転職先の法律事務所では、どんな業務をすることになったんですか。」

新井さん「最初に働いていた法律事務所とはうって変わって、お客さんが個人ではなく法人になったので、業務が180度変わりました。業務で多かったのはやはり契約書の作成や確認でした。一番最初に、契約書の作成をしたのですが、余りの壊滅的な出来の悪さで1週間で本気で辞めそうになりました笑 自分の能力を過信していたわけではなかったですが、想像以上にできなくて、どうすれば仕事ができるようになるのかわからなくてマジで迷子になっていたことを強く覚えています。浪人していた時も辛かったんですが、その時と同じくらい辛い日々でしたね。。。。夜寝る前に「あ~ちゃんと仕事できるようにならなかったらどうしよう~~~」って毎日思ってましたね。幸いなことに、根気強く育ててもらえたので数カ月後からは慣れてきて良い感じに仕事がこなせるようになるのですが、最初の数週間はマジできつかったですね。。。辛すぎたせいで思い出しくないのもあって、記憶がやや消えてます笑」

インタビュアー「最初とても苦労されていたのが意外でした・・・ひょうひょうとされてるので、上手にこなせちゃったのかって勝手に思ってました。最初苦労されてから慣れるまでに、意識したこととかありますか?」

新井さん「意識したことって言われると難しいんですが、とりあえず「諦めないでがんばろ」って思っていたことと、最悪、他に転職すればいいやって気持ちは持つようにしてました。最初の法律事務所を2か月で辞めて、次も、特に事務所側に問題があるわけでもんかったのにすぐに辞めるとヤバさ半端ないのですが、逃げ道を作っておくことでなんとか冷静にがんばる気持ちを持てました。まぁ実際1週間後くらいに転職エージェントに相談しにいくくらいにはへこんでて、そこで少し気持ちが落ち着いたのも良かったです。」

インタビュアー「なるほど。逃げ道を意識しておくことで、追い込みすぎないようにしてたんですね。真面目な人ほど自分を追い込んで苦しくなってしまうことも多い気がするので、そういった逃げ道を意識的に用意しておくのは効果的かもしれないですね。それで落ち着いて仕事に取り組んでどうにかなってしまえば全然問題ないですよね。そういったメンタルのコントロールの仕方はどなたから教えてもらったりしたんですか?」

新井さん「直接誰かからアドバイスをしてもらったわけではないですね。ただ、個人的に昔から好きな経営者さんである元ミクシィの代表の朝倉祐介さんが、講演か何かでリスクヘッジのお話をされていて、とても気が楽になったのを覚えています。」

インタビュアー「そうなんですね。自分が好きな方からそういったお話を聞けるの、余計安心しますよね。では、次に、実際に独立する時のお話をお聞きしていきたいと思います。」

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